事例ケース
成年後見監督人の印鑑証明書
先々月の8月末日を持ちまして、事務所を独立開業して、3年が経ちました。
皆様方のおかげで、4年目を迎えることができました。誠にありがとうございます。
この度は、最近登記をしたご案件で、売主様の1人に成年被後見人がいて、成年後見人と成年後見監督人がいたケースのお話をさせて頂きます。
成年被後見人の、売買契約などの法律行為は、原則無効でありますので、その場合は、成年後見人が、代理人として契約を締結します。
また、さらに成年後見人監督人がいる場合には、その監督人の同意も必要になります。
したがいまして、所有権移転登記を申請する際に、添付書類としましては、後見監督人の同意書と、その監督人の印鑑証明書が加わります。
私が登記したご案件では、成年後見人監督人が弁護士で、成年後見人の登記事項証明書の記載に、弁護士事務所の住所の記載がありました。
そのため、同意書の印鑑証明書は、弁護士の職印証明書を添付して、申請したところ、法務局から補正の電話があり、
弁護士の個人の印鑑証明書と、弁護士会から出される登録事項証明書を添付して欲しいとのことでした。
弁護士会から出される登録事項証明書とは、ここでは、弁護士の事務所の住所と、弁護士個人の住所をつなげるものと考えてください。
その後、後見監督人の弁護士にお詫びをして、添付書類をそろえてもらい、無事に補正は完了しました。
登記は奥が深く、この司法書士の仕事は、法律的な知識と経験が必要であると、改めて思いました。
今後も、日々自己研鑽に努めて参りたいと思います。
清算型遺贈
この度は、清算型遺贈の登記について書きたいと思います。
最近、この登記を立て続けにやったこともあり、増えている登記だと思われます。
清算型遺贈とは、被相続人が遺言により、所有している不動産を売却し、その売買代金を相続人や相続人以外の人に遺贈する手法です。
奇しくも、この清算型遺贈は、私が合格した平成16年度の司法書士試験の書式に出題されました。そのときは、奇跡的に解けましたが。
話を戻しますが、清算型遺贈は、登記を、まず法定相続人に相続登記を入れてから、売却先の買主に移転させます。私のやりました案件は、被相続人が死亡したのち、法定相続人の1人が死亡したという事例でした。
このようなときは、後に亡くなった法定相続人に相続人がいたとしても、あくまで、亡くなった相続人と他の法定相続人の名義で登記をします。注意点は、次の相続登記に行くことはないということです。
なお、この法定相続人名義への相続登記は、遺言執行者がいたため、法定相続人の代理人として相続登記を申請できました。
案件をこなしていきますと、難しい案件にあたることがあり、不動産登記は奥が深いと感じた次第です。
話は変わりますが、ホームページの更新を怠っていましたが、今後は、少しずつですが更新していきたいと思いますので、たまに見に来て頂けますと幸いです。
機械器具目録追加の根抵当権変更登記
先日、工場抵当法に基づく根抵当権に機械器具目録を追加する、
根抵当権の変更登記を申請しました。
このケースはすでに土地に根抵当権が設定されており、
その上に設置した太陽光パネル等を追加で担保するために、
工場根抵当権に変更するケースです。
工場抵当とは、
通常抵当権は不動産に設定されるものですが、
その不動産と一緒に、その範囲に属する動産も担保できるようにしたものです。
不動産だけではそこまで担保価値がでないときに、
そこに属する動産も担保にいれて担保価値をあげて、
金融機関から融資を受けやすくするために作られた制度です。
金融機関から渡された機械器具目録(※1)のとおり登記申請をしたところ、
法務局から連絡があり、不動産1物件につき、機械器具目録を1つずつ作って欲しいとのことでした。
金融機関から頂いた機械器具目録は1つのみで、
その中に不動産が4つ書いてありましたので、それが補正対象でした。
うまく補正を完了し、登記は無事完了しました。
今まで、たくさんの登記をしてきましたが、この工場抵当は初めてあたるケースで、
あらかじめ参考文献を読みながら案件にあたりましたが、今回のケースは盲点でした。
日々、勉強だと改めて感じたケースでした。
※1 どれを工場抵当を及ぼすか、明細みたいなものと考えてください
所有権移転仮登記を解除で抹消する場合は、利益相反取引にあたる!
先日所有権移転仮登記を解除で抹消しようとしたところ、
法務局から利益相反取引にあたるので、利益相反取引の関する株主総会議事録を添付欲しいとのことでした。
この事例は、仮登記抹消の権利者が、株式会社の代表取締役個人、義務者が株式会社です。
利益相反取引は、端的に言うと、
株主会社とその取締役取引につき、株主総会(取締役会設置会社は、取締役会)の決議が必要になります。
今回の事例は仮登記の抹消なので、利益相反取引には当たらないと思いきや、
登記研究(539号)を調べると、利益相反取引に当たるとのことです。
非常に勉強になりましたので、皆様方の参考にして頂ければ幸いです。
不動産登記は奥が深いと、改めて感じた次第です。
もちろん、無事に追完し、登記は無事に完了しました。